ソロテント。つまり1人用のテントは近年、単独行の登山者以外にも人気が広がっていて注目されています。
今回は、登山用のソロテントの選び方や、個人的におすすめするモデルについて数点ご紹介したいと思います。
ソロテントの魅力
1人の空間を確保できる
個人的には、登山は基本的に一人で登る事が好きです。とくに、残雪の北アルプスを誰よりも早く出発して静かな山を楽しむのは最高!
と言うわけで私の場合テント泊をする登山は基本的に1人なので、必然的にソロテントを選ぶことになります。
しかし、最近では複数人でワイワイ登る人達も、寝る時はソロテントをそれぞれかついで、別々に寝る人が非常に多いです。一昔前の山岳部のようなチームワーク的な考えよりも、プライバシーが尊重されるのでしょうか?
確かに、家族でもない限り寝る時は1人の方が気楽ですよね。また、一緒に寝る人のイビキや寝がえりに悩まされず、自分空間を確保できます。
テント場のスペースを圧迫している
しかし、ソロテントの流行は問題も起きています。
夏場の登山シーズンには、有名な山のテント場はソロテントであふれており、グループで登っている人たちがそれぞれソロテントを使うとスペースをかなり使ってしまいます。
混雑が予想される場合は出来れば複数人用のテントの利用が望ましいですね。また、冬季登山の場合はみんなで1つのテントに入ったほうが断然暖かいです。
ソロテントを選ぶ時のポイント
総重量
テント泊の登山、や縦走登山の場合、テント以外にも持っていくものが格段に増える為、【軽量化】が最も重要になってきます。
登山グッズ全般に言える事ですが、軽量化をはかる為には【最新の軽量素材を採用した商品を使う】または【極限まで機能を削った商品を使う】という選択が必要です。(もしくは両方)
【1g軽くするのに10000円かかる】と言われるように、登山グッズは軽くしようとすればするほど非常にお金がかかる世界です。また、機能を削れば軽量化につながりますが、テントにおいては居住性が低下します。
軽量化を突き詰めていけば、「ソロテントなんて使わずツェルトでええやん」となってしまいます。
軽量化を追いつつもある程度の居住性を確保したソロテントを選ぶ場合、理想は1500g以下。最低でも2000g以下を目安に選ぶとよいでしょう。
自立式か非自立式か?
登山向けテントには、ポールを通せばつぶれずに立ってくれる「自立式」テントと、四方を張り綱で張らないと立ってくれない「非自立式」テントの2種類があります。
非自立式の方が軽量ではありますが、テント設置の際にはペグ打ちによる固定が必要な為、テントを張る場所などを選ばなければなりません。
登山用にソロテントの購入を検討しているのであれば、まずは自立式を選ぶ事をおすすめします。
個人的には非自立式を買うなら、ソロテントではなくツェルトを買った方が面白いと思います!
シングルウォールかダブルウォールか?
ダブルウォールは、インナーテントの外側にフライシートという防水・防風の為のシートをかぶせる二重構造のテントの事を指します。
一方シングルウォールは、1重のシートだけで出来ているテントです。
まずは、ダブルウォールのテントをおすすめします。ダブルウォールは通気性の良いインナーテントのおかげで、結露しにくいですし防水機能においてもシングルウォールより安心感があります。
また、前室と呼ばれるテントの入り口のスペースが、シングルウォールでは作る事ができません。前室があれば靴を置いておくこともできますし、寒い時は前室でストーブを焚いてご飯を作ることも出来ます。
シングルウォールのメリットは、設営時の手間が少ない事や耐風性が挙げられますが、真冬の積雪登山をするような事がなければ、ダブルウォールの方が便利でおすすめします。
テント生地の素材
もし、あなたがこれから初めてのソロテント購入を検討しているのであれば、3シーズン対応以上のテントを選びましょう。
アウトドアテントに比べて、登山用のテントは比較的高い買い物になりますので、そんなにコロコロシーズン毎に購入できるものではないと思います。
夏の低山用に、テント生地がメッシュで出来ているような製品もありますが、まずはオーソドックスな3シーズン対応しているテントがおススメです。
・・・・確かに夏のキャンプでテントに寝っ転がりながら満天の星空を見るとか素敵だなーとは思いますが、夏でも高い山に行けば気温は5℃以下になりますのでメッシュはキツイです。登山用テントを選びましょう。
ソロテントの選び方まとめ
- 重量は2000g以下 (理想は1500g以下)
- 自立式テントを選ぶ
- 最初の1張ならダブルウォールを
- メッシュではない3シーズン用を
おすすめの登山用軽量ソロテント3選
ここからは私の独断と偏見で厳選したおススメの軽量ソロテントを3つ、ご紹介します。
ニーモ タニLS 1P
重量 | 1.09kg |
サイズ(WxLxH) | 105cm×202cm×103cm |
前室 | 80cm |
形状 | 自立式・ダブルウォール |
定価 | ¥54,000 |
自立式のダブルウォールテントながら、驚異の1.09kgに到達。私は、このテントを愛用している為真っ先にご紹介させて頂きました。
デザインも色も個人的にはとても気に入っています。
タニLS 1Pの良い所
- まーとにかく軽い
- ベンチレーション(通気性)が非常に良い
- 設営が簡単。(インナーは吊り下げタイプ)
- コンパクトながら、前室が非常に広く、出入りが楽
タニLS 1Pの悪い所
- 生地がちょっと薄すぎかも
- 付属ペグ少なすぎ(5本)
- 価格が高い
とにかく軽量な為、生地もかなり薄いです。その為、冬場など寒い所での利用は少し不安が残ります。
ちなみに、下記の写真の通り私は5月の北アルプスで利用しましたが、かなり寒かったです。夏以外は別売りのフットプリント(テントの下に敷くシート)とテントの中でちゃんと断熱マットを利用する事が必須ですね。
余談ではありますが、この写真の時はサーマレストの断熱マットを持ってくるのを忘れてしまい、極寒の一夜を過ごすことになりました。
テントの床からの冷えが半端じゃなかったので、シュラフにくるまった上にエマージェンシーシートにくるまって、足はザックに突っ込んで夜明けを待ちました。
本当に断熱マットは大事。
本当に断熱マットは大事。
大切なことなので、2回言いました。
モンベル ステラリッジテント1型
重量 | 1.47kg |
サイズ(WxLxH) | 100cm×200cm×102cm |
前室 | 55cm |
形状 | 自立式・ダブルウォール |
定価 | ¥37,908 |
長年に渡り多くの登山家やアウトドア愛好家から支持され続けてきたモンベルを代表すると言っても過言ではないテントです。
ある程度の快適な居住性を確保しつつも山岳用テントとして世界トップクラスの軽量性を実現しています。
私は、冬用にこのテントを購入しました。別売りのグラウンドシートと、スノーフライがあればオールシーズン使えます。
ステラリッジテント1型の良い所
- オプション多数。
- オールシーズンOK
- 強風にも耐える作り
- 設営が簡単
- コスパが良い
ステラリッジテント1型の悪い所
- 通気性はまぁまぁ
- みんな使ってるから被る
悪い所を上げてみようと思いましたが、今まで使ってみたところあんまり悪い点はありません。
ニーモ タニ1Pと比較するとベンチレーションの部分ではタニ1Pの方が優れている気がしますが、ステラリッジ1型の方が生地もしっかりしていて安心感はありますし、冬場でも普通に使えます。
デザインはオーソドックスですが、そもそも山岳テントは命を預ける装備なので、デザインよりも中身優先で選びましょう。
非常に人気のテントの為、テント場で同じテントがたくさんあって自分のテントを見失う事もありますので目印はつけておいた方がいいです(笑)
アライテント エアライズ1
重量 | 1.36kg |
サイズ(WxLxH) | 205cm×100cm×100cm |
前室 | 40cm |
形状 | 自立型・ |
定価 | ¥42,120 |
日本で山岳用テントといえばアライテント。と言われるくらいド定番のメーカー。
私に山を教えてくれた先輩も、「北アルプス登るならエアライズ1!」と言っていました。
(私は反抗してニーモ タニ1Pを買いましたが)
軽く・設営が簡単で、山岳用テントとしての十分な強度と耐久性を併せ持った非常に良いテントです。数十年前から国内山岳用テントの筆頭として多くの登山者たちに愛用されてきた信頼と実績は、このテントを選ぶ理由としては十分ではないでしょうか?
エアライズ1の良い所
- 軽い
- 設営が簡単
- 耐久性に優れる
- 信頼と実績のモデル
エアライズ1の悪い所
- テントの四隅にシームコート処理が必要
(購入時した後、縫い目に防水のボンドを塗る必要がある。) - ド定番で人と被る
・・・・こちらも、モンベルのステラリッジ同様、とくに悪い所はありませんね。
デザインについては、個人の好みがあると思いますのでお任せしますが、山頂直下の強風の中テントを張るのに、デザインもへったくれもあったもんじゃないかもです。
私も、次ソロテントを買う時は、間違いなくエアライズ1を買おうと思っています。
まとめ
上記でご紹介したモンベルのステラリッジ1型と、アライテントのエアライズ1は山岳用軽量ソロテントの中ではド定番中のド定番です。面白みがなかったらすみません。。
しかし、登山で使用するテント、とくに山頂付近でのテント泊で利用する場合は何よりもまず「信頼性、安全性」が重要です。
テントは登山中に命を預ける重要なギアの一つですから、定番ゆえの信頼と実績はテント選びの大きなポイントだと思います。
一方、私が初めて購入したニーモタニ1Pは、デザインもカッコ良くて、何よりも最軽量クラスだったので多少の不便さは我慢してでも使う価値はあると思って愛用しています。
皆さんも是非、こだわりを持って長く愛用できるお気に入りのテントを見つけてみてください!