腕時計ってじつは見た目だけでなく内部のムーブメントにも違いがあります。
大体の人は好きなブランドや好きなモデルから選ぶと思いますが、5万円を超えたぐらいから「どのタイプのムーブメントか?」も検討しなければなりません。
- 機械式ムーブメント(自動巻き・手巻き)
- クォーツムーブメント(電池式)
時計のムーブメントは、大きくわけるとこの2種類にわかれています。
そして、高級腕時計の話になると、「機械式か?」「クオーツか?」でしばしば論争が起こっています。
今回は、機械式とクオーツのそれぞれの特徴やメリット・デメリットを客観的な視点でご紹介し、その後に僕自身の考えを書いていこうと思います。
機械式腕時計について
機械式時計は古くからある時計の仕組みで、複雑なゼンマイと歯車で動いています。
スイス有名ブランドの50万~60万円を超える腕時計はほとんど機械式を採用しているのは有名な話ですよね。
今では、後述するクォーツ式ムーブメントのほうがコストパフォマンスに優れているため、嗜好品として持つ人が多いのが現状。
高級時計は年々値段が上がっているため、一部の時計ブランドは投資の対象にもなっていたりします。
秒針が流れるようにスムーズにチチチチチと進むのが特徴です。
機械式ムーブメントのメリット
- 電池がいらない
- OHをして大切にすれば長く使える
- 高級感がある(審美性が高い)
高級時計は、歯車とロマンと歴史が詰まっているため、手に入れると満足感が高いです。
あとはメンテナンスしながらだと長く使えるので、ほかの高級品のように買って終わりではなく、買ったときから始まるのです。
機械式ムーブメントのデメリット
- 価格が高い
- 精度が良くない(日差±5~10秒はあたりまえ)
- 精密なため、衝撃に弱い
- 放置すれば2日くらいで止まる
- 定期的なメンテナンス、OHが必要
じつは、機械式時計のデメリットってたくさんあるんです。
とくに日本人は「高いものは壊れない」という謎の安全神話を持っていますが、値段が高いのはぶっちゃけ「美術品としての価値が高いから」なんですよね。
機能性が高いわけではなく、時計なので時間を計る以外に使いみちもありません。機能性でいうとGPSソーラー時計やアップルウォッチのほうが高いわけです。
また、どうしても部品点数が多い分壊れやすくなりますし、高級時計は買ってからのメンテナンスが大変です。
時間を計るという本来の意味においてクォーツ時計のほうが優れていますし、機械式はほとんど趣味の世界だったりします。
クォーツ腕時計について
機械式時計とは逆に、クオーツ時計は電池の力で動く時計です。日本のSEIKOが開発しました。
クォーツ=水晶の事で、「水晶に一定の電圧を与えると一定の周波数で振動する性質」を活かして時間を刻んでいます。
水晶振動子に関してはシチズンミヨタ製が有名で、現在クオーツのムーブメントはスイスと日本のみで生産されています。
大量生産ができるため、ムーブメントを1つ数百円程度から購入する事ができてしまいます。そのためどうしても安物のイメージがつきまとうのが難点。
現在、世界中で流通している安価な時計にはほぼクォーツムーブメントが搭載されています。
クォーツ時計は、秒針が1秒毎にチッ、チッと進むのが特徴です。
クォーツムーブメントのメリット
- 精度が高い(月差±20秒以下)
- 格安
- メンテナンス費用が安い
- 放置しても動き続ける
- 機械式より衝撃に強い
クォーツ時計は、ムーブメント(内部機構)が機械式に比べて格段に安いのが最大のメリットでしょう
また、なんといっても正確に時間が計れることが素晴らしい!クォーツ時計には時計の本質が詰まっているわけです。
時計の値段がグッと抑えられて、さらに時間も正確とくれば、もはや怖いものなし。
そして値段は高くなりますが、ソーラー電池で動くものや、電波時計を内蔵しているもの、GPS機能がある時計などの付加価値が付いているものまであります。
安さが売りとはいっても、カルティエ等の高級ブランドの女性用ラインなんかはクォーツムーブメントを採用しているものもありますね。
クォーツムーブメントのデメリット
- 電池の交換が面倒
- 回路の寿命は10年程度
- 安っぽいイメージがついている
一般的なクォーツ時計は電池で動いていますが、約1年ほどで切れてしまいます。そのたびに交換するのが面倒だったりします。
10年、20年使うという事を考えると耐久性に疑問が残りますし、回路が焼き切れてムーブメントを全て交換した場合に、そのムーブメントの供給が続いているか?などの問題もあります。
メリットのところで高級時計の中にもクォーツムーブメントがあるといいましたが、そちらも耐久性やメンテナンス性の面では機械式時計に劣っています
とはいえ、カルティエなどはオーバーホールの際にムーブメント丸ごと交換をする事が多いため、寿命についてはあまり心配が無いかと思います。(お金はかかりますけどね!)
機械式腕時計とクォーツ腕時計の歴史
クォーツ式ムーブメントは1969年にセイコーが実用化に成功し、その精度の高さとコストパフォーマンスにより爆発的に広まりました。
業界に大きな変化を与えたので「クォーツショック」と呼ばれていますが、スイスや欧州の機械式腕時計メーカーが安価なクォーツ式におされ、どんどん倒産する事態にまで発展しました。
その後、スイスの機械式腕時計メーカーは自社のブランド戦略を強化し高級路線に切り替える事で生き残りを図っています。
いまや機械式時計はその審美性、芸術性、ステイタスとしての時計という意味合いが強くなっていますよね。
機械式時計はなんでこんなに値上げしてるの?
スイスの高級腕時計メーカーは年々値上げを続けており、機械式腕時計の定価と市場価格は高騰を続けています。
つい10数年前なら、オメガのスピードマスターでもモデルによっては正規品で20万円台で購入できたのに、今や定価は70万円近いですからね。
もちろん、高級腕時計の値上げについては「円安」「材料費高等」の要因もあります。
ですが、世界的に定価が値上がりしている事からも高級路線で売り出して、高くても購入するユーザーが多い。と言う事が一番の原因ではないかと思います。
ここ数年の中国の発展によるブランド爆買いも高級腕時計ブランドの値上げの原因の一つかもしれませんね
中国のお金持ちはレベルが違うので、金に糸目をつけず買いますから。。。(この際、バブル期の日本人は棚に上げておきましょう。笑)
「機械式かクォーツか?」という疑問
ここからは僕の考えを述べたいと思います。
一生ものの時計なら、迷わず機械式を買いたい
30代サラリーマン。自分の稼いだお金でそろそろ良い物を身につけたい、所有したいという欲が出てくる年ごろ。
たしかに精度の事を考えればクォーツ式やソーラー、電波式の時計の方がもちろん良いし、安価に購入する事が出来ます。
そもそも、今の時代はスマートフォンも普及しているため腕時計なんて必要ないんじゃない?という人も増えてきてますよね。
そんな中で高級な機械式腕時計を買う目的って何だ?となれば「金のかかる趣味」「男のロマン」これに尽きると思います。
今となっては、高級機械式腕時計は大人の男性が所有できる最高のおもちゃではないかと考えています。
機械式の高級なムーブメントは見ていて飽きませんし、古くからの歴史を目で見ることができるわけです。
いいものを長く使いたい
個人的には精度が悪くても、メンテナンスにお金がかかっても、一つの時計を大切に手をかけて愛情を持って使い続ける事自体に憧れます。
ゆくゆくは自分の息子に腕時計を譲れるくらい大切に長く使いたいものですね。
そういった意味ではクォーツ式よりも断然機械式の腕時計の方が好きなんです。
まとめ
実用時計としてはもちろん精度の良いクォーツ式や電波・ソーラーのビジネスユースの腕時計は持っておいて損はないでしょう。
しかし、大人の男性として、一つくらいは高級な機械式腕時計は持っていて損はないと思います。
正直、ロレックスやオメガなら並行輸入品やオークションサイトなどで安く購入する事も出来ますし、同じ時計を使っている人も非常に多いためステータスにはなりえません。
しかし気に入った機械式腕時計を正規代理店で購入して、大切に長く使い続ける事が30代40代の大人の楽しみではないかな、と思います。
歯車とゼンマイにロマンを感じられる人生は最高ですよ!